B&K4006マイクロフォン修理完了
チューブラ型で同定格のコンデンサが到着したので早速に取り付けました.そして指紋などが色々と付いているので,顕微鏡をのぞきながら高絶縁部の回路をエタノールで脱脂.本当はアセトンが最適なのですが今切らしているので代用.
さっそく組み立ててテスト.すると無事に4006は蘇りました.音の感じも以前と全く変化はありません.4006の音はもっぱらマイクカプセルに由来するので変化はなくて当たり前ですね.
本当は寸法と回路をそのままに基板を新しく起こし直す事を考えていました.電界コンデンサではなく導電性高分子コンデンサを使いたかったからです.またファインメットでトランスを作り直すのも良いかもしれません.まぁチューンナップはまた今度考えましょう.
4006には姉妹機の4003というマイクがあります.これはマイクカプセルはそのままで出力方式が独自のマイクです.4006はファンタム電源なので周知のとおり電源と信号は共用ライン.それに対して4003はDC130Vの電源と信号は別ラインになっており,出力は4006よりも12dB高い50mV/94dBsplです.
この4003と4006の音の差は歴然で,4003の伸びのある感じと純度の高い感じは別格です.あえて工学的な表現をするなら,それぞれの音がちゃんと「重ね合わせの定理」が成り立って聞こえてくるのです.一方4006はトランスとファンタム電源なので,音がこじんまりとして独特の混変調感があります.
それでも当時4006を買ったのは,あらゆる機器へのつながりを重視したからです.でも一歩良い音を目指すには,電源と信号ラインが共用であるファンタム電源という規格からの距離を考えなければなりませんね.