超低ひずみトランスインピーダンスアンプ
フォトディティクタ用の超低ひずみトランスインピーダンスアンプが出来上がりました.姿はお見せできませんがシールドBOX内に入っています.
アンプは1段に見えますが実は3段の縦続です.1段目と2段目のオープンループゲインは100dBありトータルで200dBになります.この大きなループゲインでループ内のひずみ成分を徹底的に抑圧します.位相補正は2ポール位相補正です.
3段目はシリコンゲルマによる超高速バッファアンプです.400MHz以上の帯域とスルーレート6000V/μs以上を誇り50Ω系負荷を楽々と駆動します.超高速にする理由はループ内の位相回転を極限まで減らしトランスインピーダンスアンプとしてオーバーオールで帰還をかけても発振させないためです.
まずはPDを付けない状態でのアンプの素の特性を測りました.1MHzまでほぼフラットです.グラフに出ていませんが1.5MHz付近に軽いピークがありそれ以降はダラダラと特性が下がります.ピークの理由はループゲインが2次系に近いからです.※3kHzで位相が逆転しているのは計測器の問題です.
次にひずみ率ですが狙い通り超低ひずみを得る事が出来ました.THDの値はひずみというよりほぼ熱雑音です.10kHzの3次ひずみは熱雑音以下で測ることが出来ませんでした.さてこの様な超低ひずみを測る方法ですが,弊社には市販品としては世界一の性能を誇る日本オーディオ社のHDM-1というひずみ率計を使用しています.
4.0V出力時のひずみ | 1kHz | 10kHz |
THD | 0.000063% | 0.0003% |
H2 | 0.000022% | 0.000051% |
H3 | 0.0000095% | 熱雑音以下 |
アンプにPDを接続してフォトディティクタとしファンクション光を入れたのが次の写真です.方形波をきれいに増幅しています.まだ超低ひずみ正弦波光源が出来上がっていないのでトータルのひずみ率は評価できませんが期待値はとても高いです.
考えますにフォトディティクタ用のトランスインピーダンスアンプとしては恐らく世界一の性能かと考えています.