開発にたちはだかる困難

11/20に放送されたテレ東の「ガイアの夜明」けを見ました.内容は国産初のジェット機MRJの物語.そして何度も何度もの延期.

モノづくりはとにかく簡単ではありません.なぜなら物理法則で動いているからです.机上設計はOK.コンピュータシミュレーションもOK.でも実物を作ると予想外の問題の連続.そしてやればやるほど新しい課題が噴出し,やるべき事の裾野が広がるばかり...こんな経験は皆さんにもあるのでしょうね.

私自身も随分とモノづくりしてきましたが,新しいアプリケーションに取り組むと,今でもこのルーチンにはまり苦労を重ねます.でも一度攻略法を見つけると物理法則は毎回成功という答えを出してくれます.例えば世間では,実現できないのではと考えられてきた青色LEDも,攻略法を見つけた今はやすやすと量産されています.

とにかく大事なのは,物理法則からの小さなメッセいージを真っ白な心で感度よくキャッチする事です.また電気理論の教科書に戻る事も大事です.道遠くとも地味な実験を繰り返すしかありません.そして攻略法を見つけます.

ここで厄介なのは人間界の都合です.とくに組織が大きくなると組織力学や経理の側からの「締め」の問題で,完成する手前で中断するシーンも良くあります.

本来組織のルールは,組織の使命を効率よく進めるための潤滑油として存在しています.でもルールそのものが自己目的にか変わった硬直した古い組織も多いものです.このあたりはジュリアン・テット氏のサイロ・エフェクトに詳しくその原理が書かれています.

人間界の都合を優先することなく,エンジニア側からの声に耳を傾けMRJを延期した経営陣の英断は本当に素晴らしいと思います.