SUPERLUM社のSLDに対応

弊社のヒット商品の一つにOPS-1000というSLD光源が有ります.標準ではアンリツ社のバタフライ型SLDモジュールを使っていますが,波長の関係で他社製を使う事も有ります.先日ある研究所様からのご依頼で,SUPERLUM社のSLDモジュールを搭載した製品を出荷いたしました.

波長とパワーは670nm/5mWです.可視光なので光っている様子が良く解り改めて5mWって明るいなーって思いました.とにかく直接光の覗き込みは気を付けなければなりません.

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弊社製ドライブ回路の特徴の一つとして,温度制御の高速性とその絶対値の高さがあります.これはシビアな波長設定が求められるDFBレーザーの制御で開発してきた技術です.

例えば1550.000nmで波長設定した場合,電源をON/OFFしても±2nm以内で波長を再現します.波長モニタによるフィードバック制御を掛けない温度制御だけで,これだけの性能は他には無いでしょう.またその収束も高速で電源をONして3秒ほどで目的の波長(温度)に達します.

SLDの場合はかまぼこ型のスペクトル波形なので,シビアな波長は求められませんが光パワーの安定にもかかわるので,OPS-1000にも最高性能の温度コントロール制御を乗せいております.

温度制御のループゲインは優に100dBを超えています.ペルチェからサーミスタというメカ的な伝達関数も含めて,これだけの高ゲインで帰還を掛けるのは至難ですが,フィードバック制御大好きな私としては克服しておきたかった技術です.

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右の波形写真はOPS-1000をONしてから目的の温度に達するまでのペルチェ電圧です.3~4秒で目的の温度に収束しているのが解るでしょう.リンギングはありません.まだまだ位相に余裕がある証拠です.実際もっと速くしても発振はしませんがCW動作ではこの程度を最適解としています.

通常のPID制御では,どのようにパラメータをいじってもリンギングがひどく,弊社の旧製品では最終収束に40秒ほどを要していました.「温度制御はこれが限界か」と万策尽きたあるとき,実験機の一台に不思議とリンギングの無いものがありました.で,さらに高速にしても発振しないのです.

実はこの一台大きな回路ミスをしていたのです.それがこの高速温度制御アルゴリズムを見つけるきっかけとなりました.さっそくにそのメカニズムを解析し数学モデルを構築,最終的な制御回路を完成させました..

今開発中のある製品は,温度制御をもっと高速にして1秒ほどで収束させます.そして外部からの三角波で波長スイープを可能にします.「温度で波長が変わるのは知っているが温度制御は遅くて使いえない」という一般的常識を覆すのです.