パルスジェネレータ
アナログ回路で難しいものの一つに高速のパルスジェネレータが有ります.もう廃品種ですがキーサイト社の8133Aは1nsを切るパルスを出力します.そして1nsであっても綺麗な方形波なのです.
パルスジェネレータの方形波は,ロジックICの様にスイッチングで作られているというイメージがあるのですが実際は完全なリニア信号です.そして超高速のリニアアンプで増幅して出力します.
一般の高周波回路は周波数が高くても狭帯域で設計しますので比較的簡単です.でもパルスアンプはその波形品質を保つため広帯域回路になりこれが最高に難しいのです.
超高速リニアアンプに伝説のComlinear社のCLC102が有ります.私もコレクションの一つに持っているのですが,とにかくスペックが凄いのです.
・ゲイン:15dB
・帯域:DC-250MHz
・立上がり立下り時間:1.6ns
・スルーレート:5000V/us
中身はディスクリート構成の電流帰還アンプです.そして50Ω負荷を楽々12Vp-pで駆動できます.ちなみに8133Aのファイナルアンプは差動無帰還構成です.CLC102に8112Aからの20nsパルスを増幅させたのが次の写真です.上:8112A出力の20nsパルス,下:CLC102出力
出力波形は50Ω終端で4VなのでCLC102自身は8Vで出力しています.とにかく余裕の駆動力でグイグイきます.
実はCLC102ほどのハイスペックではないのですが,今度これに近い駆動力を持つ電流アンプをレーザー用に開発します.これまでもカスタムでこの種の超高速リニアアンプを製作してきた経緯がありますが,ただモトローラの2N5583などのデバイスはとっくに廃品種ですし,もっと小型化をしなければなりません.さてどうするか...でも色々と秘策はあります.