理想の電圧源と内部抵抗

たとえば図1aのように乾電池に豆電球をつなげると豆電球は明るく光ります.次に豆電球を2つ3つと増やしてゆくと図1bのようにだんだんに豆電球は暗くなります.

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このときテスターで乾電池の電圧を測ると,もともと1.5Vあったのが豆電球が増えるほどだんだんに電圧が低くなってゆくのがわかります.ではなぜ電圧が下がったのかそれは乾電池の能力に限界があるからです.トラックでも荷物が多いとスピードが出ませんね.これと同じです.

この現象を電気回路の世界では次のような等価回路として考察します.それは図2のように乾電池の中には理想の電圧源と直列に接続された内部抵抗があって,非力な乾電池ではその内部抵抗が大きいのだと説明します.

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さてこの理想の電圧源ですがこれは一切電圧が変化しない理想の電源です.仮にこの電源に直接に豆電球を100万個接続しても電圧はビクともしません.全て明るく点灯させることができます.実際の乾電池では図3のように豆電球が増えるほど暗くなります.これは内部抵抗によって電圧降下(オームの法則)するためですべては内部抵抗が悪いのだと考えるのです.

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現実的には乾電池の中には理想の電圧源などは入ってないのですが,このように考えることによって人間の思考がとても楽になるのです.自動車のバッテリーは12Vです.自動車のエンジンにはセルモーターがあって重いエンジンの軸を回わしてエンジンをかけます.このときバッテリーからは100Aや200Aという巨大な電流が流れます.これが可能なのはバッテリーはとても内部抵抗が小さいためです.

乾電池を8個直列にすると1.5V×8個=12Vになります.では乾電池でセルモータを回す事が出来るでしょうか.残念ながらそれはできません.なぜなら非力な乾電池からは大電流を取り出せないからです.このことも等価回路では内部抵抗が大きいか小さいかの違いでしかないと考えるのです.

さて,ほとんどの人は日常にある乾電池を通して1Vという電圧は怖くないと考えるでしょう.でも世の中には1Vならが内部抵抗がとても低く100Aや1000Aという巨大な電流を流す電源も存在するのです.こんな電源を誤ってショートなどしたらそれはそれは恐ろしいことになりますね.ですから1Vは概に安全とは言えないのです.